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先端理工学部 河内岳大研究室の論文が ACS Applied Nano Materials に掲載されました【革新的材料・プロセス研究センター】

2026.02.19

先端理工学部 応用化学課程 河内岳大研究室と同志社大学 彌田智一研究室との共同研究による成果が、米国化学会(ACS)の学術誌 ACS Applied Nano Materials に掲載されました。本研究では、金ナノロッド同士をつなぐ分子スケールの“ワイヤー”を、高精度に作製する新たな手法が開発されました。分子エレクトロニクスに向けた重要な基盤技術として期待されます。

本研究が着目したのは、金ナノロッドの表面に形成できる自己組織化単分子膜(SAM)を出発点とした精密重合技術です。研究グループは、金表面に「開始点」と「停止点」となる化学基を自己組織化により配置し、その上で π 共役高分子であるポリフルオレン(PFO)を成長させることで、金ナノロッド間を橋渡しするような分子ワイヤーを形成させました。この際、金ナノロッド基板が示すプラズモニック効果を利用し、反応の各段階を高感度に追跡する SERS(表面増強ラマン分光法)解析も実施され、開始反応、重合反応、停止反応など一連の過程が精密に可視化されました。

金ナノロッドから成長した高分子鎖が、約17 nm先にある別のナノロッドへ到達し、その表面で反応停止するという一連のプロセスが明確に示され、ワイヤー成効率(wiring efficiency)は 8〜13% と評価されました。これは、分子配線技術の実現可能性を示す重要な成果です。
 
本研究は、分子エレクトロニクスにおける長距離分子ワイヤー形成の課題に対し、新たなアプローチを提示するものです。将来的には、分子グリッド配線の構築や、特定分子の吸着に応じて電気特性が変化する高感度センサー、さらに非線形電流応答を示す分子デバイスなど、多様な応用へ展開できると期待されます。現在、金ナノロッド間の電気的絶縁化や反応条件の最適化など、さらなる高効率化を目指した研究が進められています。
 
掲載論文はこちら
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsanm.5c05657